居間の文庫本棚の、上段右から20番目。
「エラリー・クイーンの事件簿1」エラリー・クイーン 青田勝訳 創元推理文庫 1972年8月25日 4版 200円
映画用脚本のノベライゼーション。
「消えた死体」
「ペントハウスの謎」
の二編を収録。
クイーンが、映画会社に売り込むために書いた脚本を、後にノベライゼーション作家が小説に書き直したものである。よって、クイーンの聖典には数えられていない。
映画用に書かれただけあって、絵的に面白い要素がいっぱい。
そして、やっぱりヒロインが必要でしょう、と作者は思ったらしく、エラリーの秘書:ニッキーが登場する。
「消えた死体」で、運悪く殺人現場に遭遇してしまったニッキーは、容疑者として警察に追われることとなる。それをエラリーが自分の家にかくまい、新しく雇ったコックです、なんて、同居している父親に白々しい嘘をつく。
エラリーの父はNYPDの警視なのだから、まったくもって親父をないがしろにした行為である。自分の家に容疑者を隠していたと知った警視が、どれだけ怒ったか。(怒って当然であろう)
ニッキーはニッキーで、コックとして紹介された以上、夕食を作らなければならない。ところが、彼女は包丁を持ったことが無いタイプの女で、煙の上がったステーキをどうしていいかわからず、シンクに投げ込んで濡れ布巾で押さえるなどという、料理のできない私の実兄でもやらんような暴挙に出る。(しかも、そのあげく皿にのせて食卓に出す!)
こんなシーンは、聖典では出会うことが難しいので、クイーンらしくないシーンにもかかわらず、ファンには「印象的シーンだ」と言う人が多いのである。
「消えた死体」のストーリー自体は、聖典の「ニッポン樫鳥の謎」を元に構成されており、しっかりクイーン風味である。
話がテンポ良く進む分、「ニッポン樫鳥」よりも読みやすいという声さえある。が、私個人は、やっぱり「ニッポン樫鳥」の方が上だと思う。
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