オランダ靴の謎

居間の文庫本棚の、上段右から21番目。

「オランダ靴の謎」エラリー・クイーン 井上勇訳 創元推理文庫 1978年3月24日 49版(カバー欠にて定価不明)

クイーンの傑作。
誰が何と言おうと、傑作である。私に言わせれば、国名シリーズで最も有名な「エジプト十字架の謎」よりも、「オランダ」の方が優れている。
私は、「オランダ」の明快な解決編を読んで、当然わかってしかるべきなのに、なぜ自分にはエラリーと同じ推理ができなかったのか、心から不思議だった。
「摩訶不思議なことが、分かってみれば当然のことだった」というのが、ミステリの理想形なのだとすれば、「オランダ」は真の理想形である。シャーロック・ホームズのシリーズで、ワトスン博士が「ホームズ君の説明を聞いた後では当然に思える」と不思議がっておられるのを何回も読んだが、「オランダ」と比べれば、ホームズ物語など手ぬるい。
ホームズは、一人で勝手に動き回って、ワトスンと読者には、良いところは教えてくれなかったりするが、クイーンはそうではない。
手がかりは、読者にすべて明らかにされる。つまり、読者は完全に捜査班の一員と同然である。
これが嬉しい。
捜査班の一員になりたいんだよねー、ミステリの読者は。

タイトルに「靴」とあるとおり、このミステリは、一足の靴がもたらす情報で、重要な謎を大方推理できるようになっている。
これから読む方は、靴に注目である。
靴について、何事も見逃されぬよう気をつけられよ。メモが必要な方は、P231~259にとってあるメモスペースを活用されるとよろしいだろう。
言っておくが、何か一つでも見落とせば、クイーンには勝てない。
勝てなかった人は、私のように「ああ、そうだったのか!」と叫んで楽しみましょう。

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