チャイナ橙の謎

居間の文庫本棚の、上段右から15番目。

「チャイナ橙の謎」エラリー・クイーン 井上勇訳 創元推理文庫 1980年8月22日 44版(カバー欠にて定価不明)

殺人現場のものが、何もかも逆さまなっているという、死体発見の瞬間から読者は大びっくりのミステリである。
死体の着衣もさかさま、家具もさかさま、すべてさかさまでわけが分からん殺人だとクイーン警視は嘆くが、最後にはクイーン流の解決があり、すべて意味のあるさかさまであったことが分かる。

現場の状況は、クイーンには珍しい密室だが、まあ密室というか何というか、うん。まあいいか。(その程度の密室である)
そして、犯人の人物像が、クイーンの犯人としては薄味である。
……そんなつまらん理由で殺さなくても。
……そして、あべこべ騒ぎをやらかさなくても。
みたいな。

ネタバレにならない程度に言っちゃうと、このあべこべ殺人、緻密に考え抜いたあべこべ演出じゃあないのである。殺したその場で、いた仕方なくなって行ったあべこべなのである。
よく、この犯人が「あべこべ」を思いついたよ。必死に考えれば、何か方法が見つかるもんですなあ。

この作品、殺人現場の異常さで、初っ端から魅力的な謎が提示され、ついで謎めいた中国の話かなんかが出てくるので、もっとおどろおどろしい展開かと思いきや、かなりドライで、近代的都会派な動機なのだ。
そう思うと、中盤の展開が思わせぶりすぎると言えなくも無いが、そこはそれ、読者を楽しませるためである。
深夜、女性の部屋に侵入するエラリーなんかも拝めるので、クイーンファンは読むべきである。
もちろん、クイーンファンでなくても、読んでご損はなさらない。

コメント

タイトルとURLをコピーしました