居間の文庫本棚の、上段右から24番目。
「ローマ帽子の謎」エラリー・クイーン 井上勇訳 創元推理文庫 1979年12月7日 47版 430円
エラリー・クイーンの処女作である。
堂々たる処女作だ。ミステリ好きの素人青年が、二人でコンクール応募した作品とは到底思えない。後のクイーン作品と比べると、固いところや、展開が一本調子になるところを感じないでもないが、ミステリとしても、クイーン・ミステリとしても、すでに完成の域に達していると思う。
私は、この作品のヴェリー部長が大好きだ。
辣腕クイーン警視の有能な補佐官として、刑事たちを束ねるリーダーとして、捜査現場を職人的に掌握するスペシャリストとして、ほぼ満点な役人として描かれている。
クイーン警視初登場のシーンで、警視にそそっと近づき、分署のドイル警官の優れた勤務評定を伝えるところなど、実に良い描写だ。
この刑事は、信用できる。彼の上司や、部下や、名探偵と共に、読者も信用してよろしいのだと、クイーンは伝えてくれるのである。
タイトルに「帽子」とあるように、この作品の鍵は帽子である。
それも、「殺人現場に不審な帽子が残されていて」というのじゃない。
「殺人現場に帽子が無い」ことが謎なのである。
「変なものがある」謎じゃなく、「有るべきものが無い」謎なのである。
なんて、クイーンらしい!
クイーンは、やはり誕生した瞬間からクイーンだということなのだろう。
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