居間の本棚(中)、棚№2。
「いけばな人物史」北條明直 千人社 昭和54年2月15日 初版 980円
古書で、400円で購入。椎名町の古書店だったと思う。
本書は、いけばなの歴史を、「人」に注目して書いたものである。索引を見ても、すべて人名が並んでいる。
いけばなの流派では、こういう本は出にくいので(池坊も、小原も、未生流も詳しく書こうというのは、各流派では難しい)、学者の先生にどんどん出していただきたい。
本書は、かなり読みやすいいけばな本である。いけばな畑の人でなくても、文化や歴史に興味のある人になら受け入れられる本だと思う。
ただ、こういう本は、結論が出ないんだよね。
いけばなは、こんな風に歩いてきましたよ、というのは分かるが、で、要するにいけばなは○○なんですよとか、○○すべきなんですよ、という結論はどこにもない。この手の本は、大いなる問いかけのままに最後のページが終わるのである。
文化について、創作について語るときに、人は安易な断定を避けることがあるものである。しかし、浮世絵とか、陶芸の世界を書いた書物には、ここまでの深い混沌は無い。いけばなの解説本は、いけばな自体の、アイデンティティへの問いかけで終わることが多いのである。つまり、著者が何も定まっちゃいませんぜと言って筆をおくパターンが多いのである。
こういうのを見るにつけ、いけばなは現在進行中のミステリーなのだなあと思う。そして、微かだが、ほんの微かだが………自分は変な蟻地獄に捕まったのではないか、と思うのである。

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