恐怖の研究

居間の文庫本棚の、上段右から9番目。

「恐怖の研究」エラリー・クイーン 大庭忠男訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 昭和51年11月15日発行 初版(カバー欠につき、定価不明)

古本で、40円で購入。
この作品は、古典ミステリが好きな人なら、ちょっとしたお祭り的に楽しめるものである。
なんと、「エラリー・クイーン」と「シャーロック・ホームズ」と、「切り裂きジャック」の三者共演なのだ。
物語の発端は、エラリーの友人が「クイーンに渡して」と書かれた謎の封筒を、自分の車の中で発見し、エラリーの元に届ける。その内容を読むと、驚くべし、知られざる「ホームズVS切り裂きジャック」の記録だった!というものだ。

物語の構成は、ワトスン博士の筆によるジャック事件と、それを読み、謎解きに乗り出すエラリーの様子が交互に描かれるようになっている。
実は、ワトスン筆の部分はノベライゼーション作家により、エラリー活躍の場面は本家クイーンによる、というふうに、クイーン以外の人間の手が入っているものである。
このような事情があるので、本作品を、クイーンのいわゆる「聖典」とするのは、ふさわしくはないだろう。しかし、私はこの作品が好きである。
いいじゃないか、ホームズとクイーンの共演! 二人の名探偵が、犯罪史上の有名な怪事件を、時代を超えて解き明かしてくれるのだから。
ホームズに会ったことのあるおばあちゃんをエラリーが訪ね、「彼に会ったのですね、うらやましい」という台詞は、そのまま、読んでいるミステリファンの台詞だ。
本作には、ミステリファンのロマンがある。
200ページ程度の薄い本なので、ロマンに身をゆだねているうちに、アッという間に読めてしまう。

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