吉村貞司著作集〈6〉いけ花の美学

居間の本棚(中)、棚№2。

「吉村貞司著作集〈6〉いけ花の美学」吉村貞司 泰流社 昭和55年9月25日 初版 2200円

古書で1000円で購入。どこの店で買ったかは不明。
日本で、最も文学的ないけばな書ではないかと思う。思えば、現在は、吉村氏のような、日本美術・日本文化の評論家という立場から、いけばなのことを文学的に書いてくれる人など見当たらない。本当は、吉村氏のような存在は、どの時代にも一人はいてくれないと困るのであるが。

本書には、私は以下のような箇所をマークしている。

いけ花の本格的な歴史がはじまろうとする時、それが寛正の大飢饉の直後であることに、私は感動する。そして当時の人たちは私たち以上に感動したはずだ。

常識にまで普遍化した美の公式から生まれ出た芸術は、うたかたのように消えうせてしまう浅俗のものにすぎず、多くの世紀を超えて今日まで栄える芸術のジャンルを開拓する可能性は、絶対と言っていいほどあり得ない。

これは花伝書の中でも花の美しさにいい及んだ最初の例であるが、花の美しさをのみ賞する次元の拒否の宣言であった。それは常識的な美に安住していることの挑戦であった。

花というのは、つまるところは線のはたらきと、ほかの枝のはたらきのつりあいでもある。だから花は後世、生花、自由花とイデーを変えても、この原理をこわすことがない。

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