居間の文庫本棚の上段右から5番目。
「エラリー・クイーンの冒険」エラリー・クイーン 井上勇訳 創元推理文庫 1980年4月11日 47版(カバー行方不明につき定価不明)
エラリー・クイーン初の短編集。収録作品は、
「アフリカ旅商人の冒険」
「首つりアクロバットの冒険」
「一ぺニイ黒切手の冒険」
「ひげのある女の冒険」
「三人のびっこの男の冒険」
「見えない恋人の冒険」
「チークのたばこ入れの冒険」
「双頭の犬の冒険」
「ガラスの丸天井付き時計の冒険」
「七匹の黒猫の冒険」
以上、10編。
クイーンは、本質的に長編作家なので、短編に「これぞミステリの最高峰!」みたいな傑作が無いのが残念である。
そうは言っても、さすがは巨匠だけあって、「一ペニイ黒切手」などは、ミステリ好きでこのメイントリックを知らない人はいないくらいの作品である。
この短編集の中なら、私は「双頭の犬の冒険」が好きだ。
これは、ある種の幽霊もので、エラリーがたまたま立ち寄った宿で、「フシギな物音がする」部屋があるというのである。
クイーンは、この短編を、がっつり「怪異譚仕様」に仕立てて楽しもうとしていたらしく、物語の冒頭から、「怪しい風」の描写で遊んでいる。
もちろん、ミステリであり、クイーンである以上、怪しい物音の正体は、最終的に明らかになり、それとともに、知られざる犯罪が明らかにされるのだ。
クイーンは「違う違う」と言うかもしれないが、ホームズものからミステリに入った私には、「バスカヴィル家の犬」みたいな空気を、多少なりとも目指したのじゃないかと思われるのだが、どうだろうか。
それにしても、この本、汚れ方が尋常でない。表紙のふちのところに、何かを流したような茶色のシミが付いているのをつくづく見ているうちに、子供の頃、紅茶のカップの中に、ザブッと落としたことがあったのを思い出した。ひどい愛書家もあったものである。
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