緋文字

居間の文庫本棚の、二段目・右から15番目。

「緋文字」エラリー・クイーン 青田勝訳 HPB 昭和31年9月30日 初版 160円

エラリー・クイーン後期の怪作。(後期は全部怪作のような気がしないでもないが)
友人の夫婦が、奥さんの不倫で危機を迎えているのを、エラリーがじーーっと見張っているという、現代なら考えられないような設定である。
もちろん、最終的には、ただの浮気調査ではなく、頭脳派の犯人によって考え抜かれたシナリオがあることが分かるのだが、そこまでにいたる道のりが長すぎる。正直、途中で、私は読むのが苦痛だった。
ここまで引っ張るのであれば、最後の解決に、相当大きなサプライズが無ければ、作品として見合わないように思うが、解決編も、それほど離れ業を見せてくれるわけじゃあない。
クイーンとしては、「つまらん」と、私は言いたい。

「緋文字」というと、一般的にはホーソーンの作品を思い浮かべる人がほとんどのはずである。
ホーソーンの作も、「不義密通」の話であって、もちろんクイーンよりも時代的には先に書かれている。
つまり、クイーンは「ホーソーンの緋文字」をモチーフにして、この作品を書いたのである。
クイーンは、明確なモチーフによって作品を書くことを、よくする作家であるが、ここまで元歌に頼らなくてもいいんじゃないのかと思う。
ホーソーンを引っ張ってこなくても、不倫の話しくらい書けるじゃないかね?

でも、クイーンには何かあるんでしょうなあ。だって、読んでいてものすごいこだわりを感じるから。
ただ、私がそれをうまく受け取れないだけなのだろう。
(要は、私がこの作品を好きじゃないだけのことなのかな)

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