居間の文庫本棚の、二段目・右から14番目。
「ミステリ・リーグ傑作選 上」エラリー・クイーン他 飯城勇三編 論創社 2007年5月10日 初版 2500+税
エラリー・クイーンが創刊し、そして4号で廃刊に追い込まれてしまった伝説の雑誌を、翻訳して出してしまおうという、ファンにとっては夢のような本である。
これは、クイーンファンとしてクイーンを弁護するわけでは決してなく、「つまらんから4号で終わった」雑誌では断じてない!と言わせていただこう。
むしろ、クイーンのこころざしが高すぎて行き詰ったような雑誌であったのだ。
何しろ4号でつぶれてしまったので、アメリカ本国でも稀本だが、日本国内で取引されることなんて、ほとんどない。
ところが、これが10何年か前に、落穂舎の目録に数千円ででたことがあった。
もちろん、私は速攻申し込んだが、残念ながらはずれてしまった。(後に、有名蔵書家のM氏の手に渡ったと、噂に聞いた)
まあ、私の場合、入手したとしてもどうせ読みこなせないのだから、おとなしく飯城氏の出してくれるのを待っていて良かったのかもしれない。
「ミステリ・リーグ傑作選 上」には、ミステリ・リーグの1~3号に掲載されたクイーンの文や、他作家の作品が収録されている。
私としてはちょっと残念なことに、「雑誌をまるまる完訳」ではない。長編・邦訳ありの短編などは、収録されていないものもある。しかしそれでも、よくこの企画を実現してくれたと思う。
クイーンの二人のうち、編集業務というのは、ほとんどダネイ一人の仕事だそうである。つまり、リーグのクイーンの文=ダネイの文ということになるが、これがなんとも読みにくい。
「クイーン談話室」よりも、各段に読みにくいと思う。正直、読むのが苦痛だった部分もある。(訳者のご苦労がしのばれます)
全体を読んで、ひしひしと感じられることは、とにかくクイーンが「良質」を目指したことである。
質の高いものを紹介する、高くないものは紹介しない。実にシンプル。僕ら間違ってる? いーや間違ってない!という、明確な意思が伝わってくる。
ダネイの文は、読みにくいので、私は前から苦手なのだが、一つ「いいなあ」と思うのは、書き手の興奮が、わりと実体を持って伝わってくる文であることだ。
この感じはだれかの文に似ていると思ったら、和田誠氏が映画について書く文に似ているのだと、最近気づいた。どうしても伝えたいことがある人の文特有の迫力が、どうも似ているように感じるのである。
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