書斎の本だな(大)。
「偽書百選」垣芝折多 文藝春秋 平成6年3月25日 初版 1800円
新刊で購入。文春に連載していた頃から、楽しみに読んでいたものである。
本書は、本の紹介というか、書評みたいな態をしているが、実は架空の書物のことを書いているものであり、タイトルにも謳っているとおり、完全な「偽書」である。こういう本は、何て言ったらいいんだ? 「文藝嘘コラム」とでもいうのだろうか。まあ、分かりやすく言うと、書評パロディということになるのかな?
私は、連載時代に、明治18年から恐竜を育てた女の人の手記なんぞを紹介しているコラム(本書の目次で言うと「第5書 捨丸生育につき」)が、文春に堂々と載っているのに出会い、面白さに度胆を抜かれてしまった。
私の記憶によれば、コラムタイトルの「偽書発掘」というのをスルーしてしまうと、コラムが創作であることが、まったく分からないような状態で掲載されていたと思う。(まことしやかな書影なども入っている!)
そのため、コラムの内容によっては、「紹介されていた本の版元は、今でも存在するのか」とか、「古書市場で見当たらない。どこで入手できるのか」などという、本気の問い合わせが編集部に入ったという。
私の場合、出会いが「恐竜を育てた日記」の紹介であったから、「本当であるわけが無い→パロだ」とすぐ分かったが、実在する本だと信じて読まれても仕方ないような文も結構あるのだ。だって、ものすごくそれらしく書いてあるんだもんね。
本書は、このようなパロディ書評が、101編も収録されている。
まったく、よく書いたねえ。ほとんどの文で、私は笑い転げたものだ。本書は、この「粒のそろい方」がすばらしいのである。
私が思うに、まともなコラムは3打数1安打でも許されるが、パロディコラムというものは、10割打者でなければ許されまい。つまらない偽文に、誰が金を払う?と思うからだ。
しかしまあ、10割というのは、理想である。実際に、10割打てる文章家は、そういるものではない。
だが本書は、この「理想の10割打者」に、かなり近いと思うのである。本好きな方には、熱烈におすすめしたい。
ちなみに、私が一番気に入っている文は、「ホラや」である。いいねえ! 百閒よりもいい!(←ほめすぎか?)


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