居間の文庫本棚の、二段目・右から2番目。
「ゴールデン・サマー」ダニエル・ネイサン 谷口年史訳 東京創元社 2004年8月30日 初版 1500円
私には珍しく、腰巻を捨てずに取ってある。惹句は、「エラリー・クイーンがトム・ソーヤーだった頃」。
そう、この本の著者:ダニエル・ネイサンは、エラリー・クイーンの片割れであり、一般的には「フレデリック・ダネイ」として知られている人だ。
しかし、「クイーンなら、ミステリだろ」と思ったら大間違い。
この本は、ダネイの少年時代の実体験に基づいている少年小説だ。(日本で近いものを探すと、「窓際のトットちゃん」あたりだろうか?)
私は、今までに二回読んだが、クイーンファンとしては、実に興味深く、味わい深い。
しかし、「あのクイーンの」だと思わないで読んだら、正直なところ、どんな感想を持つか分からない。
本職の年少もの作家の作品と比べると、やはり、伸びやかさに欠ける気がする。
面白さにも欠ける気がする。
クイーンでなければ、やはり二回は読まなかったかもしれない。
ストーリーも、設定も、悪くは無いんだけどねー。
ドキドキ感あり、ミステリ風な展開もあり。何よりいいのは、主人公のダニーが、多少余計な知恵の回る、ひょろっとした普通のガキんちょであること。
このダニー君が、夏休みの間、せっせと小金をためることが主に描かれているのだが、少々、金のことを書きすぎである。なんか、妙に金についてリアルなのである。
ダネイの、少年の日への限りない追憶は、甘い切なさになって読者の胸を訪れる。そこに、妙にリアルなお金の話しがついてくるのが、どうもアンバランスなのだ。個々のエピソードは嫌いじゃないんだけどなあ。うーむ。
私は、訳者の谷口氏の文が大好きだ。
翻訳の場合は、訳者があまり無茶苦茶をすることはできないが、谷口氏が個人で書かれる文は、自由で、常に趣向が面白く、余裕の有る語り口で、非常に魅力的である。谷口さんのあとがき、もう少し長くてもいいのに。

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