最後の一撃

居間の文庫本棚の、上段右から35番目。

「最後の一撃」エラリー・クイーン 青田勝訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 昭和59年2月15日 9刷 440円

エラリー・クイーン・シリーズの、「第一回最終作品」である。
この作品の発表年は、1958年。クイーン・シリーズは、実際には1971年まで続いたけれど、当初作者クイーンたちは、この作品でシリーズを打ち切る予定だった。
最後の花道を飾るために、クイーンは、事件発生時を自分たちのデビュー当時の時代設定にし、若いエラリーを登場させた。
内容も、「メッセージもの」「二重解答」と、いかにもクイーンらしい。
事件の発生場所は、複数の人間が集まった金持ちの館。館に集まった人間が全員いる中で、いるはずの無いもう一人の人間がサンタの扮装で現れる。その翌日、見知らぬ人間の死体が突如屋敷内に現れ、前夜振った雪の上に、出入りした足跡は無い。謎が謎を呼ぶとはこのこと!
最後に明かされる謎も、果てしなくクイーンらしい。

最後の謎解きシーンで、読者の前に現れるエラリーは、事件発生当時の若いエラリーではない。
27年後に、ようやく真相にたどり着いた中年のエラリーである(でも、見た目万年青年だけど)。
25年の集大成だ、との作者の意思が見て取れる。
25年、よく書いたよねえ、と思ったんだろうなあ。
しかし、クイーンが、最後に花火をぶち上げて終わろうとしていたのなら、その計画は不発に終わった感がある。
「最後の一撃」は、決して程度の低いミステリではないが、派手な前フリに比べると、真相の衝撃は地味なものだ。
本物の、デビューしたころのクイーンは、なにしろ推理が華麗だった。アクロバティックだった。
「読者への挑戦」までの、長い長い助走の勢いで、謎解きシーンをジェットコースターのように駆け上がったものだ。
そういう魅力においては、「最後の一撃」は少々弱いと言うべきだろう。

「弱かったかな」と、作者たちも思ったんじゃないのかな? だから、エラリーはシリーズ終了の看板を下げ、1963年にカムバックしてくれたのじゃないだろうか。

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