居間の文庫本棚の、上段右から32番目。
「クイーン検察局」エラリー・クイーン 青田勝訳 ハヤカワミステリ文庫 昭和51年12月15日 初版(カバー欠にて定価不明)
クイーンのミステリ・ショートショート集である。収録作品は、
〈恐喝課〉金は語る
〈偽装課〉代理人の問題
〈不可能犯罪課〉三人の寡婦
〈珍書課〉変わり者の学部長
〈殺人課〉運転席
〈公園巡視課〉角砂糖
〈未解決事件課〉匿された金
〈横領課〉九官鳥
〈自殺課〉名誉の問題
〈強奪課〉ライツヴィルの盗賊
〈詐取課〉あなたのお金を倍に
〈埋宝課〉守銭奴の黄金
〈魔術課〉七月の雪つぶて
〈偽相続人課〉タイムズ・スクエアの魔女
〈不正企業課〉賭博クラブ
〈死に際の伝言課〉GI物語
〈麻薬課〉黒い台帳
〈誘拐課〉消えた子供
以上、18編。
軽快で、さくさく読めるショートショート集である。
珍書課の「変わり者の学部長」を読んだ時、子供だった私は大いに驚いた。
この作品には、「スプーナリズム」という、妙な話し方が出てくるのだ。
スプーナリズムというのは、世間にどの程度認知されているものなのだろう?
今、ヤフーで検索してみたら、ヒット件数は177件だった。これは、やっぱり少ないというべきなんだろう。
なので、知らない方のために書くと、「二語以上の単語の最初の音を互いに入れ違えて発音する誤り」(訳注より)である。
日本語で例を示すと、
「パンドラの函」 を 「ハンドラのぱこ」と、
「クイーン検察局」 を 「ケイーンくんさつきょく」と、
「怪人二十面相」 を 「にいじんかじゅうめんそう」と、言い誤ることを指す。
私が不思議に思うのは、「わざとそう言う」のではなく、「いい誤り」なことである。
だって、どんなにうっかりしても、「はんどらのぱこ」って言う?
でも、いるんだからしょうがないと言われればしょうがない。それに、なかなか面白い話しなので、私は「変わり者の学部長」は好きなのである。何者かに襲われた、スプーナリズムで喋る学部長が言い残した言葉が、上記のように最初の音が入れ替わっているので大混乱、という楽しいミステリである。
ところで、トーベ・ヤンソン氏のムーミンに出てくる「トフスランとビフスラン」という夫婦ものが、やはり、音を入れ替えて喋るように訳されているのをご存知だろうか。
「あなた、疲れたんじゃない?」というところを、
「つなた、あかれたんじゃない?」などと喋っているのだ。
これは、スプーナリズムなのかな?と長年思っているのだが、原文を見ていないので、真相は不明である。(ご存知の方は教えてください)
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