居間の文庫本棚の、上段右から11番目。
「クイーン犯罪実験室」エラリー・クイーン 青田勝訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 昭和58年9月15日 4刷 400円
エラリー・クイーンの短編集である。収録作品は、
「菊花殺人事件」
「実地教育」
「駐車難」
「住宅難」
「奇跡は起こる」
「〈賭博課〉さびしい花嫁」
「〈スパイ課〉国会図書館の秘密」
「〈スパイ課〉替え玉」
「〈誘拐課〉こわれたT」
「〈殺人課〉半分の手懸り」
「〈匿名手紙課〉結婚式の前夜」
「〈相続課〉最後に死ぬ者」
「〈犯罪組織課〉ペイオフ」
「小男のスパイ」
「大統領は遺憾ながら」
「エイブラハム・リンカンの鍵」
以上、16編。
楽しく、洒落た短編集である。
私は、エラリーが、学校で起きた盗難事件を推理する「実地教育」なんかが好きだ。この作品、学校の一時間目の授業中に事件が発覚し、休み時間のベルが鳴るまでに犯人を推理するというものである。
その他、エラリーがパズル大好き人間たちの集う「パズルクラブ」で、出題されるパズルの難問を解く「小男のスパイ」や、リンカーンとポーの二人のサインが入った本の行方を探す「エイブラハム・リンカンの鍵」など、設定が楽しいものが多い。
今、この記事を書きながら思ったのだが、「クイーン犯罪実験室」は、個々の短編のタイトルが、非常に魅力的である。
大体が、クイーンはタイトルのつけ方が抜群に良いとも言えない作家なのだが、(ぶっきらぼうなタイトルが多いのよね)この短編集のタイトルの楽しさは何だろうか?
楽しさ重視で、気楽に書いたらこうなったのかもしれないが、私は、ちょっと勝手な推測による仮説を述べてみたいと思う。
仮説「クイーンは、〈ホームズ短編風〉タイトルを目指したんじゃなかろうか?」
作者クイーンが憧れ、大抵のミステリ好きが憧れるシャーロック・ホームズの短編群は、内容もそうだが、タイトルがなかなか魅力的なのだ。
「まだらの紐」「唇のねじれた男」「オレンジの種五つ」「赤毛組合」
どれも、見た人間の想像力を刺激し、待ち構えているとてつもない謎を暗示させるものがある。
クイーンの片割れ:ダネイは、ホームズとの出会いについて書いたエッセイの中で、「シャーロック・ホームズの冒険」の各タイトルに釘付けになったことを綴っている。
編集者の一面も持つクイーンは、自分の短編が本になったときの体裁について、想像しなかったはずはない。
パラパラッと目次を見て、「シャーロック・ホームズの冒険」級のワクワク感のあるものにしよう!と考えたとしても、それほどの不思議はあるまい。
この推論、当たっているかどうかはさておき、「クイーン犯罪実験室」は楽しめる短編集であることは間違いない。クイーンの長編の重量感が苦手な人には、こちらをオススメしたい。
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