Zの悲劇

居間の文庫本棚の、上段右から30番目。

「Zの悲劇」エラリー・クイーン 横尾定理訳 新潮文庫 昭和61年11月15日 44刷 400円

定価は400円だが、確か古本屋で買った記憶がある。
「Z」はね、あまり大きな声では言えないが、実はちゃんと読んでない。

えへ。

す、すみません。「えへ」でごまかそうとしてすみません。
しかし、困ったことに、「Z」について、ストーリーをはじめ、大概のことを、私は知っているのである。
なぜかと言うと、エラリー・クイーン・ファンクラブで、レーン四部作の人名事典を作る手伝いをしたためである。そのとき未読だった「Z」について、お手伝い作業をするうちに、すべての情報が分かってしまった。
文も、まったく読んでいないわけではない。
特定のシーンや、人物の台詞なども、訳文で確認するために、その都度開いて読むので、もしかしたら三分の一くらいは読んでしまっている感はある。
ここまで知ってしまうと、まあいつかちゃんと読もうと思いながら、なかなか読めない本になってしまっているのだ。

きちんと読んでいない者が言うのも申し訳ないが、「Z」は、「Yの悲劇」や「Xの悲劇」に比べると、粒が小さいように思える。が、謎解きはクイーンらしい。
犯人の属性を挙げ、容疑の範囲を狭めていく謎解きシーンは、役者レーンの語り口ともあいまって、クライマックスに向けて緊張が高まっていく良いシーンである。しかも、地に足がついて危なげない横綱相撲だ。さすがだなあ、クイーン。

少し残念だと思うのは、レーンシリーズの新キャラであり、クイーン初の女性の語り手であるペーシェンス・サム嬢が、魅力に乏しいこと。
美人で、頭がいいだけでは、読者を彼女に感情移入させるのは難しい。女の描き方に、余裕というものが無いよ。まあ、2作で使い捨てるキャラとして、それほど重要視していなかった可能性もあるけど。

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