居間の文庫本棚の、上段右から10番目。
「真鍮の家」エラリー・クイーン 青田勝訳 ハヤカワ文庫 1991年6月30日 11刷 520円
この本、私のクイーン本としては、例外的にきれいに保たれている。それは、2回くらいしか読んでないからであり、私の蔵書としては、あまり名誉な状態ではない。(2回読めば十分すぎます、と猟奇の鉄人の管理人様に言われたことがある…)
正直、私はこの作品を、好きとは申しかねる。謎解きで明らかになる「犯人の事情」が、ちょっと無理やりすぎるように見えるからだ。
「犯人の無理やりな事情」というのは、実は良質なミステリには、かなりよくある話しなのである。しかし、名作は、その無理やりが「まさか!」という感動を呼ぶ。本作は、「まさか!」には至らずに、「え、そういうことにしたんですか」程度の驚きなのである。クイーン作品としては、私はこれを優秀作品に数えることはできない。
この作品は、おなじみの名探偵:エラリー・クイーンが主人公ではなく、彼の父:クイーン警視が主人公をつとめている。ある種の番外編みたいなものだ。(警視ファンに怒られるかな)
殺人が起こる状況というのも、クイーン作品にしては珍しい「館もの」である。互いに見ず知らずの人たちが、よく分からん理由で妙な館に呼び集められ、そこで殺人事件が起こるのである。
そんなの、割りとよくあるんじゃないの、とおっしゃるのは、クイーンに詳しくない方であろう。
クイーンは、「多数の人がたまたま居合わせた場所で殺人が起こる」という状況を作るのは得意だが、その状況は、いつだってドライな説明が付くものであり、(観劇に集まった、とか、山火事から非難して集まった、とか)呼び集められた真相自体が謎めいていたためしなど、ついぞ無いのである。
そういう意味でも、クイーンとしては異色作の中にいれるべきなのであろう。
そうは言っても、物語の最後には、エラリーが出てきて謎を解いてくれる。私にはエラリー登場はうれしかったが……警視ファンにはどうなんだろう。主人公警視ですけど、ってならないかしら。
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