殺人混成曲

居間の文庫本棚の、4段目・右から26番目。

「殺人混成曲」マリオン・マナリング 都筑道夫・他訳 HPB 1996年2月29日 3版 1000円

ミステリ史上の名探偵9名(ウルフ、クイーン、メイスン、ハマー、ウイムジイ卿、アブルビイ副総監、ポアロ、ロデリック・アレン、ミス・シルヴァー)が登場する、パロディ長編である。
リヴァプールからNYを目指す豪華客船で殺人事件が起こり、乗り合わせた名探偵たちが、それぞれのやり方で犯人を追いかけ始める。
9人の探偵の中で、私が最も注目するのは、もちろんエラリー・クイーン。
エラリー・クイーンというか、この作品では「マロリイ・キング」で登場する。

パロにはよくあるが、名探偵の名前そのままじゃなくて、誰のことかわかるような変名になっているわけだ。(日本で言うと、「明智中五郎」みたいな感じ)他の探偵も、全員変名での登場である。
このマロリイさん、よく描いたと思う。うまい!
事件の要素を、色々考えては、事実と事実の共通点をなんとか見つけ、繋がりをこじつけようとするのだが、それを大真面目に書いているのが心からオカシイ。

このようなパロディというのは、ほとんどが短編作品なのだが、本作はHPBで256ページの、堂々の長編である。もっとも、9人の主人公が、独立した章を持っているので、9編の短編をつなげたような形式ではある。
しかし、これだけ笑える長編であるのは、賞賛に値すると私は思う。
解決編が、また笑える。
エラリー(てゆーかマロリイ)、あんなに考えたのに、意味無かったんか……。

物語の最後に、犯人は舟から脱出し、行方知れずになってしまう。
そう、この物語に、逮捕劇などは無粋だろう。9人の名探偵には、悔しがらせておけばよろしいのだ。

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