知られざる名探偵物語

居間の文庫本棚の、三段目・右から19番目。

「知られざる名探偵物語」ジュリアン・シモンズ 宇野利泰訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 昭和62年4月30日 初版 580円

シモンズによる、名探偵の贋作集。収録作品は、

「ホームズの隠遁生活はいかに妨げられたか?」
「ミス・マープルとセント・メアリ・ミ-ド村」
「その後のネロ・ウルフ」
「二人のエラリー・クイーンの秘密」
「メグレと盗まれた書類」
「エルキュール・ポアロの生涯」
「フィリップ・マーロウはいかにして誕生したか」

以上、7篇。
今、「ネロ・ウルフ」を変換したら「寝ろ・ウルフ」になった。
「メグレ」が「巡れ」になった。なんか、どちらもそれっぽいのは気のせいか。

まあ、そんなことはどうでもよろしい。私が注目するのは、やはり「二人のエラリー・クイーン」である。
これは、「探偵エラリーは、一人ではなく、二人存在するのではないか? ある作品を境に、入れ替わったのではないか? でなければ、初期エラリーと、後期エラリーの人間的な印象の違いを説明できない」という推理のもとに、シモンズが「もう一人のエラリー」について探っていき、幻の「もう一人」の事件解決の記録を見い出す、というものだ。
実は、この説は、クイーン・ファンの中では、すでに定番な仮説である。
だって、そうでないと、「アメリカ銃の謎」と「九尾の猫」の主人公が同じ人だなんて思えないもの。
それに、ホントの初期のエラリーには、妻子がいる設定になっていて、途中でそれを作者が放り出したものだから、ますます「実は既婚エラリーと未婚エラリーがいるのだ!」とささやかれるような事態になっているのだ。
「二人のエラリー・クイーン」の中で、シモンズは、ダネイにインタビューを取り(無論、架空インタビューである)に行った際の様子を描いている。このダネイが、質問が核心に至ると、そ知らぬ顔で話題を変えたりするので、ファンなら大いに楽しいこと間違いなしだ。
ほかの6人の探偵のエピソードも、一編ずつ愛情にあふれ、いずれも読んで楽しい贋作である。
個人的に、「本当にそうかもしれないね」と思ったのは「マーロウ」だ。
こんな人、アメリカなら居る気がする。もっとも、今でも居るかどうかはわからないけど。

コメント

タイトルとURLをコピーしました