十日間の不思議

居間の文庫本棚の、二段目・右から23番目。

「十日間の不思議」エラリー・クイーン 青田勝訳 HPB 昭和48年2月28日 4版 470円

古本で、200円で購入。
クイーンの、後期の名作と謳われる作品。
ただし、「個人的に、好きか?」と聞かれたら、私は「はい」とは言いかねる。むしろ、嫌いな作品だ。

嫌いな理由を列記すると、
①こんな犯人いない。非現実に過ぎる
②暗い
③エラリーが、毅然としていない

①は、こう言い出したら、すべての名作ミステリーが「こんな犯人いねえよ!」になるのだが、「十日間」は、その中でもちょっとやり過ぎだろうと思うのだ。ただ、その「過ぎた」方向が、あまりにもクイーンらしく、ここが人気の所以なのだと言うことは、私にも分かる。
②は、重い物語なので、まあ仕方あるまい。
③は、私が最も疑問に思うことだ。サリーとハワード(二人とも、大切な人を裏切って、忍ぶ恋をしている)の頼みを、ぶつぶつ言いながらも全部承諾するエラリーの気持ちが私には分からん。まともに考えたら、正しいことではないような頼みばっかり持ちかけてくるのだ。断れ、エル。身内でもなんでもないのだぞ。

以上のように、好きではないのだが、読んでいる最中から、読み終わるまでのずっしりした手ごたえ、クイーンでしかあり得ない物語の展開は、「名作」と呼ぶのにふさわしいものだと思う。クイーンの犯人て、なんでこんなにめんどくさい計略を練るのだろう? その計略に付き合うものだから、読後は非常に疲れる。

クイーンて、本当にめんどくさいことが好きな作家だ。「めんどくささ」を「感動」に昇華させることにかけては、すべての文筆家の頂点に立てるのではないだろうか。

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