書斎の本棚(小)
「クリスマス・カロル」ディケンズ 村岡花子訳 新潮文庫 昭和59年1月15日 51刷 180円
新刊で購入。多分、高校生のときに買ったと思う。
購入時には、完全にどんなストーリーか知っていた。一度はちゃんと読もうかな、くらいの気持ちで買ったのだろう。
読んだ結果、「児童向けだな」とか、「昔話みたいだ」とか、「ご都合展開だし、やや通俗的」とか、いろいろ思ったのだが、結局私はこの物語が好きなのだと思う。その証拠に、いまだに処分できずに持っている。
ディケンズに言いたいことがあるとすれば、
「甘いよ、チャーリー」
であろうか。この物語は、冒頭の一文の空気からして、「バッドエンドではない」ことをあらわにしている。主人公は、改心するし、改心の結果幸せになるのである。そんなの、見え見えなのである。
「甘いよチャーリー、でも好きだけど」
そして、孤立無援で絶望している人にとっては、この物語は救いにはならないと思う。スクルージの周囲には、ずーーっと優しい人がいる。スクルージの側から拒んでいただけで、優しい人たちはいつだって存在したのだ。真の孤立無援な人には、この存在が無いのである。
「そういうところが甘いんだよチャーリー」
いや、もしかして、「真の孤立無援な人はいない」というメッセージなのだろうか? あの守銭奴おやじにだって、握ろうと思えば握れる温かい手が存在するのだから。
私は本書を「幻想」カテゴリにしようか、「文学」カテゴリにしようか、ちょっと悩んだ末に「文学」にしてしまった。本書は私が所有する唯一のディケンズなのだから、いちおう文学としてお迎えしておこう。
ところでディケンズは、私の大好きな映画スターの家に、乳母&家庭教師として勤めていた人のおじいさんだったりする。が、それはまた別の話である。


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