書斎の本だな(小)。
「名探偵なんか怖くない」西村京太郎 講談社文庫 昭和59年6月25日 19刷 360円
クイーン、ポワロ、メグレ、明智が、三億円事件を推理するという、夢のようなパロディ。西村京太郎って、何でも書くんだなあ。
4人の探偵が登場する出だしの部分は、ミステリファンが読めば興味深くて面白い。(ポワロの誇張されっぷりが、ちょっと鼻につく気がしないでもないかな)
成金の佐藤氏は、金にまかせて4人の探偵を自分のもとに招く。つまり、明智以外は、はるばる外国から呼び寄せたわけだ。
そして、三億円事件の全貌を推理しろと迫り、事件を再現して推理させるべく、自ら3億円を投げ出してわざとそれを人に盗ませる。佐藤氏が、「三億円犯にうってつけ」として、選定した人間に盗ませるのである。
しかし、これは単純な「やらせ」ではない。盗んだ人間は、自分が三億円事件の再現のために選ばれたとは知らないのである。つまり、本人的にはマジ窃盗なのだ。「盗みそうなやつ」の前に、三億円をぶら下げ、故意に盗むように仕向けるのである。(ああ、説明が難しい)
大金を奪った犯人が、どのように行動するか、名探偵たちは、よってたかってスラスラ推理する。そして、当たる。神のように、すべて当たる。さすが名探偵。
ところが、作られた三億円犯が、何ものかに殺されてしまい、事態は突如殺人事件の捜査になってしまう。
西京、頑張ったなあと思うのは、4人の探偵に、それぞれ見せ場を作っていること。
殊に、クイーンに、「シルクハットはどこへ消えたのか」と言わせてくださったことには感謝申し上げる。
大笑いなのが、「読者への挑戦」である。
これには、クイーンが「挑戦を入れたい」と言ったから掲載する、との但し書きがついていて、しかも、エラリーからだけでなく、ほかの名探偵も、一人ずつ「挑戦」を出してくれている。ポワロが「こういうのは好かん」とか言いながら出していたり、最後には日本の警察から「挑戦とか言わず、真面目にやれ」などと苦言が入ったり、パロディのパロディたる面白みに満足する。
私は、この作品は基本的に「お遊び」と見るが、謎解き部分がいい加減でないのは、西村京太郎の意地だろう。
表紙絵には、4人の名探偵のシルエットが並んでいる。どのシルエットが誰なのか、ちょっとミステリが好きな人なら一目でわかるはず。

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